2011年10月30日

30年ぶりの再会 1/2

db056354.jpg10月29日

「SADA CITY」ツアー、本日は名古屋でOFF日だ。昨日は遅くまで痛飲してしまったため、昼近くに目が覚める。さて今日は何をして過ごそうか。スタジオ仕事があれば東京まで飛んで帰るところだが、何もやることのないホテル暮らしは正直言ってつらい。

働かない頭の中で良いアイデアはないかと考えを巡らす。ここは名古屋だったか、と焦点の定まらないまなざしで天井を見つめると、様々な思い出がよみがえってきた。tassiにとって名古屋は過去に数々の楽器との出会いがあった街だ。90年代までライヴでは必ずといってよいほど使っていた「TAKAMINE」、確かこの楽器は名古屋にある共和商会経由で特注してもらったものだ。ライクーダーが使って一躍TAKAMINEの名を知らしめたモデルは、テイルピースがあるアーチトップスタイルのギターだ。それを普通のブリッジに変更して特注したのだ。えび茶色のボディーでずいぶん長い間お世話になった。実は、話せばいや書けば長いがその前にも名古屋とは深い縁があったのを思い出した。

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高校生のtassiが最初に手にしたフラット・マンドリンは、「Eikosha」という聞き慣れないブランドの安い楽器だった。高校生の分際で高い楽器が買えるわけがない。1972年頃国産フラット・マンドリンといえば「Jumbo/ジャンボ」が有名だったと記憶している。他に「Kasuga/カスガ」があったかどうだか。どちらにせよジャンボの一番安いモデルでも手が出なかったので、選択は「Eikosha」しかなかったのである。

あこがれの「Gibson」「Martin」日本製でも手が届かない「Jumbo」など、一目見ただけでも説得力のあるブランドがある中で、この「Eikosha」という名前は一体何なんだ。出版社みたいだな、どこかの工場か、などとバンド仲間と集まっては悪口を言い合い盛り上がっていた。値段も1万円そこそこの楽器だったので、音はまあそれなり。仕上げもそれほど高級感はなく、しかし初心者には必要十分であった。それからほどなくして一番安いジャンボを手に入れ、「Eikosha」のマンドリンはどこかに忘れ去られてしまった。

それから何年か時代は下り、二十歳そこそこのtassiは、いよいよプロとして初めてのコンサートツアーに参加することになる。もちろんギターがメインである。ところがその当時持っていたアコギは友人から借りていたS.Yairiだけ。もう少しプロとして説得力のあるギターはないかな。tassiは本番までにある程度の楽器を用意しなければと考えるようになった。

「Bozo」というギターがある。Bozoはセルビア(旧ユーゴスラビア)のギター製作家「Bozo Podunavac/ボゾー・ポドゥナヴァック」氏が作るギターだ。このギターは12弦ギターの名手「Leo Kottke/レオ・コッケ」が使っていることを知っていたtassiは、ギブソンやマーチンそしてギルド同様にあこがれの的だった。ヘッドが七色仮面みたいでかなりユニークで、ちょっと惹かれるギターだった。

当時音楽ライター業もやっていたtassiは、業界の裏情報に触れる機会も多かった。オリジナルの「Bozo」は手工品で価格も高いが、実は普及モデルは日本のS.Yairiがライセンス生産していることを知っていた。今で言うOEMである。このあたりの事情はきっと当時は秘密だったかもしれない。しかしずいぶん昔のことだからもう時効だろう。当然海外向けの「Bozo」なので日本の楽器店には並ばない。つまり誰も持っていないということだ。よしBozoを手に入れよう。当時から人と同じ事が嫌いなtassiはそう決断した。しかし今考えると、S.Yairiじゃいやだからという理由で選んだのに、このBozoも実はS.Yairi製というのは理屈に合わないね。人の楽器がイヤだったのかなあ、それともブランドに目が眩んだか。

さて楽器屋に並ばない楽器をどこで手に入れればよいのか。聞くところによると名古屋の楽器卸問屋が扱っているというではないか。現在ならネットやメールで写真などの情報をやりとりできるが、約30年前だからそうはいかない。結局新幹線に乗り名古屋まで出向き現物を見て選ぶことになった。一人で新幹線に乗るのも初めてのことでかなり不安だったなあ。名古屋から地下鉄に乗りナントカという駅で降り、トコトコと徒歩で10分近く行ったところにその問屋はあった。 後半に続く....


CASIO EX-FH100


fukasawaman409 at 01:01│Comments(1)TrackBack(0)gears | etranger

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この記事へのコメント

1. Posted by はる   2011年10月30日 21:06
5 tassiさん、こんにちは。
さださんのライブにお邪魔したのは、もう四半世紀も前のことになります。
tassiさんに会いに、出かけてみようかな?

話しの後半が楽しみです。

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