2007年07月16日

AW2816とGT-5

1ee95341.jpg7月12日

朝一番から西麻布の制作会社でCM録音。音楽は藤田曜子氏。石油会社のCMでtassiはバンジョーとアイリッシュブ・ズーキで参加だ。2タイプそしてダビング作業などを数トラック録音し、しかし予定を1時間ほどオーバーし、30分遅刻でサウンドシティAstへと駆けつける。サウンドシティでは「さだまさし」さんのレコーディングだった。編曲は渡辺俊幸氏。tassiはアコギで参加だ。

昨日のライヴメンバーであるドラムの島村氏とE.ギターの松原氏と一緒であった。2テイクほどでOKをいただくが、咳き込んでしまい部分修正の羽目になる。すでに風邪は治ったはずなのだが.....困ったものだ。

tassiはアコギの他にも色々な楽器を演奏する。レコーディングであれば何も問題ない。また、ライヴでもマイク1本であれば何も問題はない。問題となるのは、ピックアップを通して出力する場合だ。2〜3本であればPA回線の問題もそれほど深刻なることはないが、5〜6本となるとそうはいかない。回線数が足りないので、ミュージシャン側でステレオ、あるいはモノにまとめなければならないからだ。そこで登場するのがラインミキサーである。

20年ほど前は、8chほどのアナログ・ライン・ミキサーを用意し、そこにリバーブなどのエフェクターを2系統接続していた。個々のボリューム・バランスは楽器側、あるいはミキサーのつまみの位置をマーキングすることで1曲ごとに対応していた。エフェクトのチェンジも手作業で行っていた。ライヴというのはレコーディングと違って、一曲一曲を丹念に仕上げていく作業ではない。曲繋ぎやメドレーなどもあるし、譜めくりと同時に機材のスイッチング切り替えなども、段取り良くスムーズに行わなければ、コンサート全体の流れを阻害してしまう。一人だけモタモタしていてはならないのだ。だから当時はかなり煩雑な作業であったと記憶している。

指弾きのアルペジオとピック弾きのストロークの音量差、あるいはソロの時の音量や音質など、もちろん弾くタッチでコントロールするというテクニックが基本であるが、ある程度以上は無理があるだろう。レコーディングであればチャンネルフェーダーを上げ下げすれば済むことだが、ライヴで自分のためにそこまでPAスタッフに要求するのは酷である。ならば自分でやろう、というのが発想の原点である。

楽器にトーン・コントロールはおろかボリュームすらつけていないtassiはそこをどうクリアするのか。その答えが「デジタルミキサー」にあった。デジタルミキサーであれば、フェーダーの位置やEQエフクトなどを「シーン」としてメモリーすることが出来る。この機能だけであれば、最近のデジタル・エフェクターでも十分可能だ。また楽器の数が少なければ、この小さくて多機能な便利グッズで全く問題はない。しかし重要な問題が二つほどある。

1. 楽器数が多い場合のチャンネル確保
2. エフェクトを含めて根本的な音質のクオリティーの追求

この二点をクリアするのにtassiはデジタルミキサーを選択したわけだ。いちいちシールドを抜き差しする煩雑さを考えると、各チャンネルにそれぞれの楽器をあらかじめ繋いでおく方が、瞬時の持ち替えの時の事故が少ないと言える。使わない楽器はあらかじめフェーダーをミュートしておくことはもちろんのことだ。また、EQやリバーブなどのエフェクトも、小型のエフェクターに比べれば、かなり高品位である。ましてプラグインカードで供給されるエフェクトは、確かに高価ではあるがレコーディング・レベルで使用できる品質で、ライヴにはオーバー・クオーリティーかもしれない。しかしナマ楽器故の微妙なニュアンスは、安価なデジタル機器では表現できないのでは、というのがtassiの持論である。

さて様々なシーンメモリーを事前に登録していても、それをどう呼び出すかが問題となる。ギタリストは両手がふさがっているので、いちいちミキサーに向かって、シーンメモリーを呼び出すワケにはいかないからだ。そこで登場するのがフットスイッチだ。デジタルミキサーにはフットスイッチなるモノは付属していない。そこで登場させるのがBOSS GT-5のようなエフェクターである。tassiはこのエフェクターを、単純にフットスイッチとして(だけ)使っている。MIDI経由でデジタル・ミキサーと接続し、プログラムチェンジでシーンを切り替えているのだ。こうすることによって両手が塞がっていようと、譜面をめくっていながらも、全てコントロール可能なのである。GT-5にはコントロール・ペダルがついている。これをデジタルミキサーのマスター・フェーダーにアサインさせてあるので、ペダルを戻せばフェーダーもその動きにつれてスッと下がる。チューニングメーターをAUXのどこからか繋いでおけば、外に音を出さずにチューニングも全く問題ナシ。これがライヴにおけるtassi流のAW2816活用方法である。もちろん、現在ならO1V96のようなもっと高品質のミキサーがあるが、当時はY56Kというプラグインカードが使えるコンパクトな機器が、このAW2816しかなかったのである。

BOSS GT-5だが今となってはかなり古いモデルなので、その音質に関してはあえて文句をつけるつもりはない。しかしライヴであればナントカ使えるであろうと思う。もし何らかの事故でAW2816がトラブっても、事前にプログラムしておいたGT-5を使うことで、その危機をかろうじて回避できるだろうというのが、単なるMIDIコントローラーを使わないという理由でもあるのだ。

以上で述べたシステムを使う場合、リハーサルの時が一番大変である。曲ごとのボリュームなどのセッティングをしながらのリハーサルなので、曲だけに集中することが出来ない。しかしいったんプログラムしてしまえば、あとは楽だ。本番はペダルを順番に踏んでいくだけでOK。かなり余裕で曲に集中できるわけだ。ただし、ペダルを踏み間違えると一切音が出なくなるから、そこだけが注意点である。

もっと効果的な使い方があれば教えて欲しいなあ。


RICOH Caplio GX 100


fukasawaman409 at 01:28│Comments(0)TrackBack(0)work | gears

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