2018年02月

2018年02月25日

個別診察と投薬時間

c3264e89.jpg2月21日

夜遅くAVACOにてレコーディング1曲。音楽は志方あきこ氏。tassiはGut,12弦、アイリッシュブズーキ、リュートでダビング作業。

早めにスタジオに到着すると、すでに前の患者さんは帰った後だった。

最近のレコーディング・スタイルとして、一人(セクション)ずつ録音することが多い。昔はミュージシャン全員を集め、「せーの」で一発録りすることが多かった。今でも歌謡曲演歌系はこのスタイルだ。ところが最近の傾向として劇伴でも個別に録ることが多いので、病院での出来事のように、ジョークを交えて冒頭での言い方をすることがある。

ブースに楽器をセットするとギターには珍しくNEUMANN M49がU67の隣にセットされている。主にウッドベースなどの低音楽器の録音に用いられることが多いが、わざわざギター系にセットするとはエンジニアの南氏は何か意図があるのだろうか。

志方さんの場合いきなり録音に入ることはなく、まずは作戦会議だ。1曲を通して同じ楽器で弾き通すということはほとんどない。そこが普通のポップスとの違いだろう。当初このスタイルに困惑したが、ここ10年ほどのおつきあいの中で、ブロックごとに楽器の配置を換えるという手法に慣れてきた。本日も基本は12弦とアイリッシュ・ブズーキが中心となり、部分部分でガットやリュートが登場するという構成に落ち着いた。

さて、67と49のバランスがどうだったかを帰り際に訊いたようだったが、すっかり忘れてしまった。とっくに投薬時間が過ぎていたので、きっと上の空で聞いていたのかもしれない。


SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4


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2018年02月20日

がんばれGIBSON

8fd92f9a.jpg2月20日

インターネットのニュースサイトによると、ギブソンが危ないらしい。なんでも手形の返済が今年の7月に迫っていて、期限内に返済できないと倒産するかもしれないというのだ。詳しい事情はよく知らないが、ギブソンのギター、マンドリン、バンジョーなどを愛するtassiは心配でならない。

tassiが最初にギブソンに出会ったのは、実はギターではない。F-2というフラット・マンドリンが最初だった。もちろん興味がなかったわけではないが、ギブソンのアコギは仕事に使えないと、その当時は思っていたのだ。鳴らないボディから聞こえてくるのは、ボソボソとサスティーンのないチープなサウンド。例えは悪いが、干からびたイタリアのパンのような味気ない音といったら言い過ぎだろうか。そんなイメージが染みついていて、ギブソンギターは自分の選択肢になかったのだった。たぶん1970年代の一番質の悪い時代のギブソンの音しか聴いたことがなかったからだろう。アコギはマーチンに限る、そう言わざるを得なかったのだ。

1984年のある日、今もリペアでお世話になっているF氏から「ギブソンのF-2というマンドリンが中古で入荷したので、もし時間があれば見に来ませんか」という電話を頂いた。F-2ということは、ラウンドホールのビンテージだということはすぐに分かった。わが師の石川鷹彦氏がF-4の名手である。F-2はその下位機種だが、実際に店頭で弾いてみるとその枯れたサウンドに心奪われた。枯れてはいるが奥行きの深い、そしてラウンドホール独特のコロコロとしたなんともいえない甘い響きに、今まで使ってきた日本製のマンドリンが色褪せた瞬間だった。やっぱりビンテージ・ギブソンは違う!!迷わずクレジットカードを差し出したことは言うまでもない。これがギブソンとの最初の出会いだ。

1917年製ギブソン F-2はその後tassiのメイン・マンドリンとなって、数多くのレコーディングやライヴで活躍してくれて今も現役である。作られてから既に100年経っているのに状態は良く、最高の仕事の道具だと信頼している。

さてギターはというと、1990年にサンタ・クルーズOMを手に入れ、メイン・ギターはこれになった。それまではマーチンのドレッドノートを使っていたが、実は低域のブーミーなサウンドに長い間不満を持っていた。ところが同じマーチン系でありながら、ボディサイズの小さいOMをスタジオで弾いてみると、つまりマイクを通した音をプレイバックで聴いてみると、実にバランスのとれた「使える音」がモニタースピーカーから聞こえてきたのだ。ドレッドノートは使えない、ギターはOMに限る。そう確信した瞬間だった。それからしばらくOMの時代が続き、レコーディングにライヴにとこの一本で全てまかなってきた。

1996年のある日、池袋のI楽器店で1959年製ギブソン サザンジャンボ(通称SJ)に出会った。ギターはサンタ・クルーズOMで打ち止めだと心に決めていた。しかしこれまでギブソンのギターサウンドに失望していたtassiは、楽器店で弾いてみるとこれまたF-2マンドリンに出会った時の様なトキメキを感じたのだ。今まで聞いてきたサウンドはいったい何だったんだろう。音は枯れているがサスティーンも十分だし、加えて奥行きと深みがある。マーチン系のちょっと女性的な繊細でゴージャスな出で立ちとは逆の、男らしいけど無骨ではないしなやかさを感じたのだ。指弾きでも音像がボヤけない存在感は立派だ。オールドのマーチンD-18にも通じる、ビンテージのマホガニー・サウンドにノックアウトされた瞬間だった。これは最良の仕事の道具となることは間違いない。そう確信し喜んでクレジットカードを差し出したのは言うまでもない。

それから現在までこの1959年製ギブソンSJがtassiのメインギターになった。とはいえSJも完璧ではない。ストロークはもとよりアルペジオも完璧にこなすが、唯一不満なのはフレーズなどの単音弾きだ。土台としての存在感は十分にあるのだが、上物の瑞々しさと色気が少し足りない。ならばどうするか。板前が包丁を使い分ける様に、tassiもギターを使い分ければいいのだ。フグの薄造りを作るのにわざわざ出刃包丁を使う必要はなかろう。そう考えてフレーズ弾きの時はMerrill OM28と使い分けるようにした。 この2本でレコーディングはほぼ完璧である。

その後アーチトップのL-4、L-50を始めエレキのES-175、キング・オブ・アコースティックと呼ばれるJ-200、レアなJ-185とギブソン愛は今も続いている。間違っても倒産なんていうことにならないように切に願っている。


SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4

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2018年02月15日

戻ってこい、ウクレレブーム!

e15065ef.jpg2月9日

夕方NUMANスタジオにてCM録音。音楽は林部亜紀子氏。tassiはウクレレでダビング作業。

今から20年ほど前だっただろうか、CMというとやたらウクレレの登場機会が多かった。世の中もウクレレブームだったように記憶している。ハワイのカマカはその代表選手として昔から有名だったが、コアロハ、ケリー、Gストリングスなどなど新しいメーカーのウクレレが、日本でも簡単に手に入るようになる頃だった。

tassiもその当時はソプラノ、テナー、バリトン、8弦など多くの種類を集めたものだ。ところが熱しやすく冷めやすい日本の風潮なのか、その後ウクレレブームは一気に過ぎ去り、レコーディングの現場でも以前ほど頻繁に使われなくなった。

本日はそんなウクレレのみのダビングだ。まずはロング・ネック仕様の夢弦堂コンサート・ウクレレでリズムトラックを録る。オール・コアボディから発する軽快なサウンド、リズム系はこの楽器に限るなあ。次にメロディーだ。ある程度存在感ある音が欲しかったので、ギブソンのテナー・ウクレレを使う。オール・マホガニーボディの音は温かくそして太い。

ブースを出るとそこはN朝のロビーだった….なんて錯覚を感じながらスタジオを後にした。


SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON 35mm F1.2

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2018年02月10日

王様といえばウードだろう

1830606d.jpg1月30日

午前中に神宮前の製作会社にてCM録音。音楽はアコーディオンの佐藤芳明氏。tassiはマンドリンでダビング作業。

念のためラウンドとフラットの2種類を持って行く。コントロールルーム前室でセッティングしていると、アコーディオンをレコーディングしている音がかすかに聞こえてくる。なるほど、今回はイタリアモノだからラウンドで決定だ。

アコーディオンの録音を待ってブースに入る。イタリアンなサウンドが4タイプ。なかなかイイ曲ばかりでどれでもOKな感じだ。そうはいってもtassiは演奏で呼ばれたので余計なことは言うまい。それぞれメロディーを弾き、アコと一緒にイタリアンなサウンドを演出した。

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深夜SOUND CITYにて英語教材の劇伴録音。音楽は大谷幸氏。tassiはブズーキ、ウード、マンドリンでダビング作業。

なんで英語教材に民族楽器なんだろう….?どうやらその答えは教材に使われるCDにあるようだ。CDといっても音楽だけが収録されるのではなく、物語を俳優の肉声で語った音声も同時に含まれる。その物語の舞台が、ウードやブズーキのふるさとである中東と関係しているというわけだ。したがって他の楽器ではダメだということ。

マイクアレンジの都合上まずはマンドリンから録る。ラウンド、フラット両方持ってきたが、ここではフラットが登場。フラット・マンドリンといってもタコマ製なので、いわゆるGibson系とはひと味違ったサウンドである。今は主にライヴで使用しているが、マイクを立てたレコーディングでもなかなかいい味を出している。

次にブズーキだ。一番譜面が多いが、先に述べた理由で弾く場所は限られている。そして最後にウード。王様が困ったなあ、っていう感じで弾いて下さいという指示があった。きっとそういう内容のストーリーなんだろうなと想像して、ニュアンスを多めに弾いた。


SONY α7S / Carl Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA

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2018年02月05日

ゲゲっ、雪じゃないか!!

2193749b.jpg1月22日

正午からVICTORにてアニメ主題歌のレコーディング。音楽は田中公平氏。 tassiはエレキ・シタール、チャランゴで参加。

今日は午後から雪の予報だ。もしかしたら前倒しされるかも分からないので、朝早く家を出てスタジオへと向かう。今日はそれほど早くないが、通勤時間帯にぶつかると幹線道路が渋滞する。また、通学時間帯には細い道も通行止めになるので、余計に道が混むのである。元々裏道小僧のtassiは、そんな規制をかいくぐって裏の裏を行くのが得意だ。距離は走るが確実に時間通りに着けるルートをいくつか確保している。運転はさほど上手くはないが、それだけが自慢だなぁ…..

さて、雪も降っておらず相当早くスタジオに着いてしまった。いくら家でチューニングをしてきたとはいえ、チャランゴは狂いやすい。スタジオの環境に慣らすために、ある程度の時間ケースから出しておかなければならない。エレキ・シタールは板っきれなので、それほどシビアにならなくても良さそうだ。ただ。ブリッジでオクターブ調整が出来ないため、押さえるフレットによってはピッチが微妙に怪しい。その都度チューニングし直して部分的に録っていく。

1時間ほどで無事にレコーディングが終わり、外に出てみると雪本番という降り方である。今シーズン初めてスタッドレス・タイヤに履き替えたので、その効果を試してみたい。なるほど、グリップが違うね。もっと大雪にならないかな、なんて不謹慎なことを考えながら帰途についた。


SONY α7S / Carl Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA

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