2019年02月05日
Pre-War Guitars

午後からA-toneにて映画の劇伴録音。音楽は佐藤準氏。tassiはアコギ、ガット、マンドリンでダビング作業。
春に体調を崩し、佐藤氏の仕事をドタキャンして以来なので、まずはそのお詫びをする。最初はアコギから始める。本日は我が愛機のGibson SJではなく、先日手に入れたばかりのPre-Warギターを試す。
このPre-Warギターはその名の通り戦前の黄金期に作られた、MartinやGibsonのレプリカを再現している新進気鋭のメーカーである。サウンドはもちろんのこと、そのルックスもビンテージ風に、いかにも使い込まれたかのような仕上げになっている。実際の現場で使うのは初めてなので楽しみだ。
ルックスは古いが新品のギターなので、シビアにマイクを通した音は心配したが、そこは杞憂に終わった。ナカナカどうして大したものだ。キチンと調整のされていない中途半端なビンテージなら、絶対にPre-Warギターの方がイイと思った。これからもGibson SJのサブとして使い続けようかな。
不満な点は一つある。それはフレット端の仕上げだ。それぞれ1弦側6弦側に向かって、ほんのかすかにだが高さが落とされている。そしてその際(キワ)も斜めに処理されているのだ。ほんの些細なことだが、これが原因で弦落ちしてしまう。フレットはギリギリまで立てて、ストンと直角に処理してあれば弦落ちは防げるはずだ。買ったばかりだが、全てフレット交換を決意した。
レコーディング終了後、佐藤氏から「今回の監督です」と紹介されて驚いた。よく似た人もいるもんだなあと思ったら、水谷豊さん本人だった。本日は水谷豊脚本監督の映画「轢き逃げ」の劇伴録だったのだ。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
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2019年01月19日
人海戦術で時間内終了

午後からVictorにてレコーディング1曲。編曲は谷田部正氏。tassiはバンジョー、マンドリンで参加。
本日は珍しくミュージシャンが一堂に会しての同録だ。贅沢にもtassiを含めるとギタリストが3人もいる。一人ダビングでも良さそうなものだが、どうやら1曲を1時間で仕上げなければならないので、人海戦術を取ったという事だ。
ほんのりとカントリー調の明るい曲調だが、譜面を見るとキーがヤバイ。何とbがタクサン付いているではないか。とは言えそこはプロですからまあ無難にこなし、しっかり1時間で終えてスタジオを後にした。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
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2018年12月23日
ボツったか

午後から神宮前の制作会社にてCM録音。音楽は東川亜希子氏。tassiはマンドリンでダビング作業。
本日は超有名曲のメロディーを、マンドリンでダビングするという作業だ。そして最後に企業のロゴが入るという具合である。
本日までにオンエアを確認できなかったので、もしかしたらボツったのかもしれないな。まあそんなこともあるのかもね。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
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2018年11月21日
本格的なファド

午後からVICTORにてレコーディング2曲。編曲は若草恵氏。tassiはアコギ、ポルトガル・ギターで参加。
本日のメインは2曲目のポルトガル・ギター曲だ。1曲目はもろにジャズのアレンジ、tassiはアコギでひたすらリズムを刻む。大久保明氏の175がいい味出している。程なくしてレコーディングは終わり、いよいよ2曲目に突入だ。
コーディネーターを通して、あらかじめ聴いておいて欲しいという曲を告げられた。YouTube にアクセスすると、アマリア・ロドリゲスの曲が流れた。なるほど、今回は本格的にファドに挑戦なんだということが伺える。
アマリア・ロドリゲスに限らず、tassiはファドをずいぶん聴きこんでいると自負している。実際にリスボンのファド・レストランで生演奏を聴いたこともある。 なのでファドに関して、一般のギタリストに比べれば少しは分かっているつもりだ。
譜面はあくまでも参考程度、細かいニュアンスや唄い方はtassi任せだ。自分では頑張ったつもりだが、果たして結果はどうだったんだろうか。
夜遅くNHKにてドラマの劇伴録音。音楽は吉俣良氏。tassiはアコギ、ガットでダビング作業。
昼間VICTORに行く途中にスタッフから電話で「本日急遽来てくれませんか」ということで、蕎麦屋の出前よろしくNHKまで駆けつける。
どうやら追加曲が増え、ギタリストが間にあわなかったようだ。曲数は少なかったがダビングでメロディーのハモりがあったり、ニュアンスを合わせるのに少し手間取った。とはいえ時間内には無事に終わり、帰宅してワインタイムには充分間に合った。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年11月10日
知らんでもエエことかな

夕方からVICTORにてレコーディング1曲。編曲は佐々木博史氏。tassiはマンドリン、カバキーニョ、ギリシャ・ブズーキでダビング作業。
佐々木氏は「嵐」のアレンジをずっと手がけており、その中でも民族系の弦楽器を積極的に採用して下さる。いつも同様に今回も民族系での参加だ。とは言っても全体のサウンドは民族系とは程遠く、チラッと聴いただけではこんな楽器が参加しているって事は分からないだろうね。まあそこが面白いところなんだが。
譜面を見てキーがDbということが判明。マンドリンでこのキーはハッキリいってきびしい。開放のカの字も使えないではないか。無理してこのキーで弾くとお互いに不幸になる。ということでチューニングを半音下げてDでプレイすることにした。つまり双方丸く収まったわけだ。その後カバキーニョも半音下げでダビングする。
佐々木氏はいつもアイリッシュ・ブズーキを使うので今回もそうだろうと思ったが、念のためにギリシャの方も積んでおいた。譜面を見るとこれはギリシャじゃなきゃダメだということが分かった。用意周到というのはこういうことなんだなと改めて思った。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年11月05日
ソレ、ホントに使うんですか?

午後からTantoにてNHKの幼児番組のレコーディング。音楽は大森俊之氏。tassiはウクレレ、ウクレレ・バンジョー、バンジョーで参加。
Tantoってどこにあるの?当初仕事を受けた時そう思った。どうやらNHKの近くに今年オープンしたスタジオだと分かったのは、レコーディング・コーディネーターから昨日聞いてからだ。場所の見当はついたが何しろ初めて行く場所だ。余裕を持って家を出たら早く着き過ぎてしまった。
それではということで、代々木八幡駅周辺を少し散歩する。夜はバー営業するが昼はランチもやる、というスタイルの店があちこちにある。その中の一軒にに入ってみる。おっ、BGMにカントリーがかかっている。最近こういう店は珍しいね。ランチもなかなかレベルが高い。今度夜にでも来てみたいと思った。
本日は番組の中で流れる曲で、いわゆる劇伴とは違う。ついでと言っちゃあなんだが、ミュージシャンが一堂に会しての一発録音だ。tassiはいつものようにA型らしいキッチリしたリズムでウクレレを弾くが、大森さんは気に入らないようだ。もっとラフに弾いてくれというので頑張ってみるが、 習い性なのかナカナカ思ったように出来ない。10代の頃の俺に言ってくれと思ったが、そうも言えず何度かやるうちにOKを頂く。
次に手に入れてから今まで一度も登場機会の無かったウクレレ・バンジョーを重ねる。たぶんレコーディングで使うのは初めてだろう。チューニングが相当怪しいので、ポジションごとに細かいチューニングに手を加える。最後に特徴的なフレーズをバンジョーでダビングする。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年11月01日
近所で2発

朝早く、といっても10時そこそこだが、原宿の制作会社にてCM録音。音楽は東川亜希子氏。tassiはアコギ、12弦、マンドリンでダビング作業。
ここのスタジオは竹下通りから明治通りを渡り、そのまま真っ直ぐ突っ切った先にある。なので時間帯が悪いと、人通りの多い細い道を車で通らなければならない。さすがに今日は午前中なので人通りもまばらでラクチンである。
まずはアコギから基本的なリズムトラックを録る。その後マンドリンで色をつけるといった手順でレコーディングは順調に終わった、かに見えた。終わりしなにスタッフからエレキでスライドお願いします、と頼まれてしまった。プロデューサー個人持ちの楽器を渡され、適度にフィルインして本当に終わる。
その後近所のVICTORに移動し劇伴録音。音楽は伊藤賢治氏。tassiはアコギ、ガットでダビング作業。本日のスッタフの顔ぶれを見ると、あれっ今日はゲーム系だっけ?と思わせる面々で頭にはてなマークの付いいたままレコーディングが始まる。細い指定が音符で書いてあるがそれは参考までに、ということで譜面を尊重しながら好きに弾かせてもらう。
本日はライブ(ミュージカル?)用の音源のためのもので、残念なことに公演は数回だけという贅沢な録音だった。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年10月25日
あこがれの高層マンション

夕方から作曲家末廣健一郎氏のプライベート・スタジオでアニメの劇伴録音。tassiはアイリッシュ・ブズーキ、リュート、バラライカでダビング作業。
初めて行くスタジオの時は、一応事前にGoogla Mapで調べることにしている。ナニナニ、これはいつもtassiが裏道として使っている、路沿いのマンションではないか。ってことで無事到着すると、既にアシスタントの方の出迎えがあった。マンションの高層階まで台車を転がし、着いたところはロケーションの素晴らしい部屋だった。夜はここでワインなどを飲みたいものだ。全然仕事モードにならない。
と言ってても始まらないのでスイッチを切り替える。本日はほぼ書き譜の譜面で音の指定があるが、楽器の運指上無理があるところは相談の上、部分録りさせてもらうことにした。アナログマルチテープ時代では考えられないねえ。
リュート曲は16〜17世紀の時代を想起させるそれらしい曲で、とても印象に残った。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年10月22日
エフェクティブ・リュート

午後S.CITY ANNEXにてアニメの劇伴録音。音楽は林ゆうき氏。tassiはバンジョー、マンドリン、リュートでダビング作業。
アイリッシュハープの方と入れ替えにtassiのダビングが始まる。ということはアイリッシュっぽい曲がアルってことか….?思い返しても記憶が定かではない。
リュートはミステリータッチの曲で使われ、アコーディオンとの掛け合いでフィルインするという内容だ。なのであまりリュートっぽくはないと思う。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年10月18日
2018年10月14日
まったく記憶にありまへん

午前中にSONYにてCM録音。音楽は酒井義久氏。tassiはアコギ、ガットでダビング作業。
スタジオに到着するとプロデュ−サーから「今日は10分で終わるからね」とのアリガタイお言葉を頂く。レコーディングが始まると、本当にアッという間に終わってしまった。一瞬の出来事だったので何を弾いたのか、未だに思い出せない。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年10月10日
もう満載で何も載りません

午後ラボレコーダーズにてCM録音。音楽は平沢敦士氏。tassiはアコギ、アイリッシュ・ブズーキ、マンドリンでダビング作業。
tassiはその昔マンドリンはフラット、ブズーキはギリシャしか持っていなかった。しかしいろいろと要求される事が多くなり、ラウンド・マンドリンやアイリッシュ・ブズーキを手に入れるに至った。ラウンド・マンドリンはベルギーの首都ブリュッセルの楽器屋で偶然見つけて買ってきた。
アイリッシュ・ブズーキはイギリスの製作家に直接連絡を取って手に入れた。当時はインターネットの黎明期だったので連絡はメールではなく、何と!ファックスでやりとりしていたのだ。あれから20年以上が経つ。今では信じられないなあ。
夜S.CITY ANNEXにてアニメの劇伴録音。音楽は若林タカツグ氏。tassiはアコギ、ガット、バンジョー、マンドリン、ドブロ、サズ、エレキシタールでダビング作業。
今回は楽器が多く、車も満載状態である。これだけの数があるとチューニングも一苦労だ。20分は掛かるだろう。なのであらかじめ自宅でチューニングしておく。この日は曲数が多く、どう考えても時間内には終わりそうにない。なので優先順位を決めてそれにしたがってテキパキと作業を進めることとなった。何曲かは録りこぼしたがまあこれは仕方ないだろう。
レコーディングを終え外に出ると、東京タワーの夜景がとても綺麗だった。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年10月06日
ナポリ・マンドリン

夕方VICTORにてレコーディング2曲。編曲は羽毛田丈史氏。tassiはガット、マンドリンでダビング作業。
ほんの一週間前にも同じスタジオで羽毛田氏のレコーディングだった。連続するというのは最近では珍しいことである。本日はヴォーカルグループの新しいアルバムの中の2曲「帰れソレントへ」と「アマポーラ」に参加だ。
イタリアものと来ればもちろんマンドリンはラウンドに限る。tassiのラウンド・マンドリンはナポリ製だから、なおさら好都合ってことだね。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年10月03日
ヘルシンキよもう一度

昼からVICTORにて映画の劇伴録音。音楽は羽毛田丈史氏。tassiはガット、バンドリン、マンドリンでダビング作業。
ストリングスの皆さんと入れ替えでtassiのダビングとなる。スタジオから出てきたメンバーとすれ違ってビックリ。藤堂君と森本君がいるではないか。昨日同様さだメンバーに遭遇するとは、偶然とはいえ嬉しいものだ。
映画の劇伴と聞いていたので、さぞかし大量の譜面が用意されているのだろうと思ったら、何と2曲だけであった。それも劇伴らしくない尺の長い曲だった。まずガットで全体にリズムを刻む。刻むといってもつま弾くわけだが。さらにバンドリンでリズムに色を添える。最後にラウンド・マンドリンで部分的にフレーズをちりばめるという段取りだ。
カンテレの弦を探しにヘルシンキを旅したのはいつだったか….。4月下旬だったが北欧は寒く、そのくせ日差しが刺すように強かった記憶が残っている。結局カンテレの弦は見つからず、残念な結果に終わってしまったが、キリッとした空気の中に身を置けたことは収穫だった。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年09月30日
狭いブースでも大満足

夕方からS.CITYにてレコーディング1曲。編曲は若草恵氏。tassiはアコギで参加。
スタジオに着いてセッティングの場所を訊くと、今日は奥の奥の狭いブースに案内された。なるほど、今日は大編成だなということが分かる。しばらくするとミュージシャンたちが到着し、それぞれの場所でセッティングをはじめる。ややっっ、ドラムには島村さん、パンフルートには旭さんと、さだまさしに関係するミュージシャンがいるではないか。お互いに挨拶を交わしながら、和やかな雰囲気でレコーディングはスタートする。
本日は演歌の王道中の王道、曲良し、詩良し、歌良し、編曲良しの大満足でレコーディングを終えた。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年09月26日
2018年08月03日
飛行機移動にヒヤヒヤ

正午からS.VALLEYにて劇伴録音。音楽は早川暁雄氏。tassiはウクレレでダビング作業。
コーディネーターからの連絡でレコーディングの日程を伝えられると、それは九州ツアーの最終日である宮崎からの帰り日だった。当初予約していたのは午後に着く便なので、朝イチの便に変更できるならお受けしましょうと伝えた。いつもコンサート後に自主的打ち上げをするのだが、今日に限っては飛行機の予約がまず優先だ。メンバーには先に飲み屋に行っててもらい、ひたすらホテルで航空会社のウエブサイトとにらめっこだ。なんとか第一便が予約できたのでコーディネーターにOKを伝える。いやはや便利な時代になったモンだ。けれどその分だけ世界が狭くなったとも言えるが…..。
宮崎-羽田便は到着が30分遅れた。猛暑のせいで羽田空港の滑走路が破損してしまい、3つある滑走路の1つが使えなくなってしまったのがその原因だとか。原因はともかく預け入れ荷物を取っていると仕事に間に合わない。苦渋の選択でキャリーバッグが出てくるのを諦めて(捨てて)、京急のホームへと急いで向かう。後で何とかなるだろう。
帰宅しウクレレをいくつか積んでスタジオへと向かう。オーダーはソプラノ、テナーということだったが、コンサート、バリトン、8弦ウクレレも随行させた。譜面を見ると作家の早川氏はソプラノとテナーを想定して譜面を書いてきたので、それに沿うように楽器の選択をする。ウクレレの組み合わせだけのセッションは何年ぶりだろうか。最近では夢弦堂のウクレレを使うことが多いが、何年かぶりにマーティンのソプラノを使った。甘く軽やかなソプラノの音に再発見の一日だった。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年07月19日
久しぶりに弾いたぞ!

夜、A-tone四谷にてアニメの劇伴録音。音楽は水谷広実氏。tassiはアコギ、ガット、12弦、ウクレレでダビング作業。
今日は朝から幕張、川崎でテレビ収録やらライブがあり、ちょっとお疲れ気味でスタジオへと向かう。少し時間が延びる可能性があると事前に伝えられていたので、これはキッチリ腹ごしらえをしないといかんな。スタジオの1階にあるイタリアンレストランでパスタを注文。料理ができあがる前に急いで楽器を搬入する。出てきたパスタはこれまたおいしく、仕事の前ではなく今度はゆっくりとワインでも飲みながら来てみたいと思ったぐらいだ。
無事に楽器も搬入しチューニングを終えると、これまた結構な量の譜面を渡された。今日は大変そうだなあ、と一人つぶやく。内容的にはタイヘンな譜面はないが、量が量だけに時間内では終わらないだろうなと想像する。メシ喰っておいてよかった…..。
本日はアニメ映画のサントラ録音で、何でも制作スタッフの方が拙ブログ「Tassi of the Day」に昔からよくアクセスされていて、わざわざのご指名ということらしい。運悪くレコーディングの現場には立ち会えなかったようで、ご挨拶が出来ずに残念だった。
まずはギター類からレコーディングを始める。あらかじめ打ち込んであったものを一度聞き、それから本番を録るという手順である。譜面と音が違う場合も多々あり、その場合は音を優先するという手法だ。1曲に対しダビングが2〜3パートあるのでけっこう時間がかかる。このペースだと確実に24時は超すな….。
大人の事情やら体力の事情があるので、途中からはいきなり本番を録ることに変更した。それでも終わってみると25時。久しぶりに「ザ!劇伴録音」というペースで弾いた。映画のように沖縄でちょっとノンビリしたい気分になった。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年07月12日
義母と娘のブルース

午後から代々木上原にあるサウンド・ラボ・オワゾにて劇伴録音。音楽は高見優、信澤宣明、日向萌氏。tassiはアコギ、ガット、マンドリン、ドブロでダビング作業。
クライアント側からあらかじめドブロはブルース系の楽器との指定があったので、いわゆるDOBROではなくNATIONALを持って行くことにした。この違い、実はギターに詳しい人でも知らないことが多い。以前の記事に少しだけ書いてあるので、興味のある方はそちらのリンクをご覧あれ。
ドラマのタイトル通りブルースも1曲あった。当然ビスケットコーンのナショナルが大活躍。ギタリストでもある高見氏の譜面には、オープンDチューニングでとの指定がある。さすがに運指(というかバーさばき)を計算したフレーズで無理がない。他にも心情系のガットメロの曲、軽快なマンドリンの曲など劇伴らしいバラエティに富んだ内容だった。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年06月19日
インドとボリビア親戚関係?

午後からVictorにてレコーディング1曲。編曲は萩田光雄氏。tassiはアコギ、チャランゴで参加。
本日は久しぶりの同録だ。何度も書いているが、ミュージシャンが一堂に会しての演奏は、それぞれの息遣いがリアルタイムで感じられるので、幸せなことこの上ない。一人ダビングで緻密に作っていくやり方も好きだが、自分のプレイに誰かが反応することはない。今日のような機会は最近特に少ないので、レコーディング合間の馬鹿話も含め楽しみたいと思う。
数日前に萩田氏からチャランゴも使いたいという連絡が直接あった。南米系の曲ですかと訊くと、いやどちらかというとインドなんだという返答で多少混乱する。インドでチャランゴとはどういうこっちゃ?スタジオに着いて譜面に書かれているタイトルを見ると、MITの2階にある中華料理店みたいな名前で、ああなるほどと納得した。
たしかにエレキギターの角田氏は、エレキシタールを持ち込んでいる。エレキシタールとチャランゴかあ....。そういえばばばゲゲゲの鬼太郎のレコーディングの時に、エレキシタールとチャランゴを演奏したことを思い出した。それもここVictorだった。偶然とはいえ奇遇だ。
タイトルはともかく曲は普通のポップな感じで、まずはアコギでベーシックを録る。チャランゴのパートは曲のほんの一部なので、最初にダビングをさせてもらう。一流ミュージシャンのセッションは、短時間でアッという間に終わった。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4
2018年05月30日
もう住めない

午後からユニバーソウルスタジオにてアニメの劇伴録音。音楽は鷺巣詩郎氏。tassiはアコギ、ドブロ、マンドリン、ウクレレ、バンジョーでダビング作業。
初めて行くスタジオ、それも渋谷のど真ん中となると搬入が心配だ。公園通りの裏側とはいえ人の多いところなので余計に気を遣う。実は使った楽器の他にカンテレ、テナーリュートも最初のオーダーにあったから車は満載状態。病み上がりにこれだけの量を一気に運ぶのはタイヘンである。さいわいコーディネーターのスタッフが手際よく手伝ってくれたので、最初の難関は無事に突破した。
スタジオのブースはそれほど広くないので、全ての楽器を一堂にセットすることは出来ない。まずは竿モノから始めてカンテレは最後に回すか(結果的にカンテレはナシになった)。本日の曲数は3曲ほどで、テンポ違いで数パターン、また素材録りなどが主で一曲まるまるというケースは少なかった。まさに現代の劇伴録音といったところだろうか。
20年ほど前に渋谷のど真ん中に住んでいたことがあった。当時から車の出し入れはタイヘンで、今はそれ以上に人が多く良くここで生活していたなと、我ながら感心している。半分懐かしかったが、今ここで暮らせといわれたら「出来ない」と即答するだろう。
SONY α7S / Cael Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年05月23日
余計なことはするな

夜、代々木上原のプライベート・スタジオでレコーディング1曲。編曲は大森俊之氏。tassiはアコギでダビング作業。
エンジニアは久しぶりにお会いする中越道夫氏。作曲の大森氏とtassiで「ゴルフ3馬鹿トリオ」として、ちょっと前まであちこちの芝生を掘り返しに行っていた。最近は皆さんお忙しそうで、芝刈りもとんとご無沙汰だ。
本日はあらかじめオケは録音されており、そこにtassiのアコギをダビングするという手順だ。バラード曲なので基本的にアルペジオ。フラットピックにするか指にするか何度か試す。ピックの方がクッキリはするが、ともすると打ち込みに聞こえなくもない。指の方がニュアンスが出るのでこちらに決定だ。まずはGibson SJで一本目を録る。次にほぼ同じ内容で人格を変え、Merrill OM28で相方をダビングする。
コントロールルームでプレイバックしたところ、指弾きなのにクッキリと存在感のあるサウンドに録れている。中越氏に「どうやったらこんなにイイ音に録れるの?」と訊くと、氏曰く「12k辺りを少し上げて、60以下を少し切ればいいのさ、普通にやってるだけ。余計なことしなきゃイイんだよ」と、シンプルだが含蓄のある答えが返ってきた。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4
2018年05月16日
病み上がりにはフィンガーピック

夕方、サウンドシティにてレコーディング1曲。編曲は渡辺俊幸氏。
本日はアーティスト(さだまさしさん)が弾いたテイクを、全て差し替える作業だ。私事だが4月の下旬から10日間ほど緊急入院をしてしまい、5月から始まったさださんのレコーディングに参加できなくなってしまった。
そんな理由で新しいアルバムの何曲かは、さださんご本人が弾いている。今日も本来であれば差し替えは、さださんが弾くはずだった。しかし前日までのツアー・リハーサルでのtassiの様子を見て「病み上がりなのに元気そうだな、じゃあ一曲まるまる弾き直してくれ!」ということで、本日tassiが登場ということになったワケだ。ありがたいチャンスをいただいた。
さださんは基本的にフィンガーピックを付けて弾く。tassiはよほどのことがない限り付けることはない。たとえばオケが厚くてそのままだと埋もれて聞きづらい時や、一曲まるまるスリーフィンガーといった場合だ。やはり自分の爪のほうがニュアンスを出しやすいのだ。
なるべくさださんのニュアンスで弾くには、やはりフィンガーピックを付けるべきだろうか。Gibson SJでしっかり目に弾けば、フィンガーピックを付けなくてもイケそうな気がする。しかしマイクポジションが下からなので、その部分も考慮に入れなければならない。
結局フィンガーピックを付けることになった。やはり病み上がりのせいか、指に力がなかったようだ。今回はフィンガーピックに助けられた形となった。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4
2018年05月02日
下手ではなく、上手くもなく

午後原宿の制作会社にてCM録音。音楽は中井秀樹氏。tassiはアコギでダビング作業。
CM意図はちから強く無骨な男の心情を、昭和のフォーク調の曲に載せて….ということらしい。昭和のフォークならリアルタイムだからなんでもござれだ。まずは作家の作ったサンプルを聞く。歌い手が自分で弾きながら歌っているような感じ、つまりあまり上手く弾いちゃダメってことだ。
それならと、中学生時代を思い出そうとするが、そう簡単にはいかない。上手くちゃ困るがあまり下手でも問題がある。その頃合いが難しいのだ。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON 35mm F1.2
2018年04月28日
住友林業第二弾

夕方ラボレコーダーズにて住友林業のCM録音。音楽は加藤久貴氏。tassiはガットでダビング作業。
このシリーズの第二弾らしい。前回同様「家族の大切な時間」がテーマのCMだ。
ピアノ、ストリングスの後クラリネットと同時のダビングだ。エンジニアは長いことお会いしていなかった廣瀬氏。お互い長い間会わないと次があるかどうかわからないからね、と旧交を温める。
廣瀬氏はいつものように自前のNEUMANN KM84ステレオで2本セットしてくれた。いつものように安心できるサウンドでガットもいい感じである。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON 35mm F1.2
2018年04月24日
松下じゃありませんよ

夕方代々木上原にあるサウンド・ラボ・オワゾにて劇伴録音。音楽は木村秀彬氏。tassiはアコギ、ガット、ドブロでダビング作業。
スタジオに到着するとE.ギターの増崎氏のダビングが丁度終わったところだった。アンプなどの搬出を待ってギターのセッティングする。ここのスタジオもそうだが、椅子が硬い場合がある。例えば文化村、NHK、サウンドバレイ、サウンドイン、サウンドシティ・世田谷(旧クレセント)、サウンドシティ・アネックス(旧タワーサイド)などの椅子は硬いんだ。長時間の劇伴だとお尻が痛くなってしまう。そんな時のためにtassiの車の中には、テンピュールのシート・クッションをいつも積んである。まずは体をいたわるところから始めたい。
アコギ、ガットと録って最後にドブロのダビングだ。ドブロといっても本日はナショナル製のリゾネーター・ギターを使う。何やら美味そうな名前の、ビスケット・コーン仕様である。
ドブロは楽器名ではなくメーカー名である。正式楽器名称はリゾネーター・ギター、あるいはリゾフォニック・ギターだろう。だがあまりにも有名になりすぎて、世の中では楽器名そのままとして通っている。エレクトーンと電子オルガンの関係と同じだね。
リゾネーター・ギターはリゾネーター(楽器本体の中にある反響板)の構造から、大きく分けて2種類ある。先に述べた「ビスケットコーン・タイプ」、そして「スパイダーコーン・タイプ」だ。前者は泥臭いブルージーなサウンドによくマッチしていて、ボトルネックで演奏されることが多い。後者はカントリー、ブルーグラス系の音楽で使われ、スティールギターのように横に寝かせ、ソリッドの金属バーを使って演奏されることが多い。そのためスクエア・ネックの楽器も多く見かける。
今回もあらかじめ資料が送られてきて、ちょっとブルージーな曲だったのでナショナル製で決め打ちだ。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4
2018年04月18日
楽器それとも弾き方?

夜遅くグリオ・スタジオにてレコーディング1曲。作編曲は岩田雅之氏。tassiはアコギでダビング作業。
ほぼ10年ぶりにお会いする岩田氏は、相変わらず勝新のような強面の風貌はそのままだった。また同時に、その作風の優しくポップで繊細なところも変わっていなかった。
本日は岩田氏が事前に自分で弾いたギターのパートを、tassiのプレイにレコーディングし直す作業だ。ということはそれと同等、いやそれ以上のクオリティを求められるわけだ。
ギターの場合他の楽器以上に、プレーヤーの個性や指グセというのが出やすい楽器である。なので自分の引き出しにない他人のフレーズを再現しようとすると、一瞬指に詰まることがある。まあそれでも1、2回やれば慣れるものだが。
まずは1959 Gibson SJでアルペジオ。エンジニア氏は、最初ネックの7フレットあたりを狙ってマイクをセットした。ううむ、どう考えてもありえないセッティングだ。まあでも何か意図があるのだろう。ということでこのままの状態で一度録ってみる。案の定低域が足らないスカスカの音だ。なのでtassiがいつもセットしているポジションに変えてもらう。
エンジニア氏は今までの経験から、アコギの低域がブーミーになるサウンドを嫌い、ネック寄り(というかほぼネック)のセッティングでそれを回避していたのだと思う。テクニカの4050はtassiも所有していて、低域が豊かというよりもスッキリとした写実的なサウンドのマイクである。どう転んでもボワンボワンの音になるはずがない。マイクアレンジを変えたサウンドは、いつもスタジオで録っているような普通の結果になった。
次にもう一本のアコギをダビングする。基本は同じアルペジオだ。弾き手が一緒だと同じようなサウンドになりがちだが、ギターをMerrill OM 28に持ち替え、人格を変えて少しルーズな感じに仕上げて、たぶんクローン3号ぐらいの違いになっただろう。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4
2018年04月14日
民族系は準備が必要

夜サウンドシティにてレコーディング。音楽は若林タカツグ氏。tassiはアコギ、ブズーキ、マンドリン、ウード、サズでダビング作業。
今回も事前に譜面をいただいたので、楽器のチョイスに無駄がなかった。ブズーキというとアイリッシュ系をイメージする人と、ギリシャのもう少しクセのある音色を期待する人と、ふた通りに別れることが多い。またそれとは別に、単に「民族的な音」という漠然としたイメージだけで捉えている人もいる。そんな時は2種類持って来なければならない。本日の作曲家若林氏は、明確にアイリッシュ系をイメージしているので、持っていく楽器もアイリッシュ・ブズーキ1本だけですんだ。
まずはアコギとアイリッシュ・ブズーキをダブルで録る。音圧感そしてグルーブ感が出せたと思う。次にマンドリンだ。ラウンドでもフラットでもない、ナポリ製のヴィンテージなセミフラットバック・マンドリン「E.DE CRISTOFALO」でトレモロ奏法。
最後に残ったのは「裏丸系」のダビングだ。鬼のように速い7拍子の曲。ついていくのが精一杯だ。まずはサズでリズムを刻む。次にウードで途中にあるアドリブソロ。さすがにこのテンポに7拍子という条件が重なると、全くのアドリブというのは完成度が期待できない。なのであらかじめ考えてきたソロを基本に、民族色をあまり強く出さず、部分部分を修正しつつ仕上げた。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4
2018年04月07日
同録にちょっと緊張

夜キングにてレコーディング2曲。編曲は若草恵氏。tassiはアコギで参加。
久しぶりの同録でのレコーディングだ。このところライヴ活動が多く、またレコーディングでも一人でのダビングが多かったので少し緊張する。
イントロ、間奏、曲中のフィルを含め、全てリード・プレイだ。ギターはもちろんMerrill OMが登場する。同録なのでニュアンスを強調するというより、確実なプレイでひとまず終える。イントロ、間奏は2曲目が終わった後時間を掛けて仕上げることにした。
2曲目はいわゆるバッキング。これにはGibson SJで対応する。オケ中でも確実に存在感のあるサウンドがGibsonらしい。久しぶりの同録はやっぱりいいなあ
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4
2018年03月31日
鳥取でしか聴けない

午後NHKにて劇伴録音。音楽は窪田ミナ氏。tassiはアコギ、カバキーニョ、マンドリンでダビング作業。
基本はアコギのメロ弾きに、途中からオクターブ上を重ねるという手順。ダビングものは色は欲しいがあまり民族色は出したくないとのこと。当初窪田さんからはマンドリンかポルトガルのカバキーニョを提案された。
マンドリンならメロ弾きは問題ないが、ポルトガルのカバキーニョだとチューニング上無理がある。であればブラジルのカバキーニョにしたらどうかと逆に提案してみた。実際に試してみないと判断がつかないだろうと思い、カバキーニョはもちろんのこと、マンドリンもラウンド、フラット、バンドリンと3種類スタジオにセットした。
まずはアコギからレコーディングする。 メロ弾きならMerrill OMに代わるギターはない。音の深みはビンテージ・マーティンに譲るとしても、瑞々しさは2000年代という比較的新しい楽器ならではの特徴だ。ニュアンスを付けやすいように、tassiは少し細めのカスタム・ライト(.011〜)を張っている。細い弦を張ると普通は音が痩せる傾向になる。ところがMerrillはそういうこともなく、信じられないほどの音の太さを持ったギターだ。Merrillはニュアンスと太さを併せ持った現代の名器だと信じている。
唯一残念なのはデッドポイントがあるということ。tassiの個体はよく使う1弦7フレットのBがそれに該当する。なのでその辺りを弾く時は、ピッキングのタッチを工夫しながら弾かなければならない。
アコギのメロディーが終わり、次に相方をどれにするかを吟味する。色々試した結果、単弦のカバキーニョが最終選考に残った。4度チューニングなので、運指はギターと一緒だ。ニュアンスを合わせながらダビングした。
本日の劇版はNHK鳥取放送局が4月2日から放送する、夕方の情報番組「いろ★ドリ」の中で聴くことができるらしい。番組の中で幾つかのコーナーがあり、アコギメロの曲は天気予報のバックで流れる予定だ。その他のところでもカバキーニョやマンドリンが聴けるかもしれない。残念なことに全国放送ではなく、鳥取でしか放送していない。なのでtassiは一生聴くことができないのだ。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4
2018年03月23日
マンドリン・バンジョー

夕方、南青山の制作会社にてCM録音。音楽は中川俊郎氏。tassiはマンドリン・バンジョーでダビング作業。
数日前の深夜、プロデューサーからメールが届き「こんなサウンドでやりたいんだけど、似たような楽器持ってますか」というメッセージと参考音源が送られてきた。まずは聴いてみると、昔よく聴いていたあの曲だった。似たような楽器どころか、そのままズバリの楽器があるじゃないか!!。おおおおっっっ、買っておいてよかったなあ。
長いことケースから出していないので、もしかしたら弦が切れているとか、ヘッドの皮が破けているなんてことになったら困ったことになる。楽器庫に入りマンドリン・バンジョーを探すがすぐに見つからない。さてどこに置いたかなあ。HPに載せているしあるのは分かっているのだが、なにしろ仕事で登場するのが今回初めてとあって、ヤツの居所がどこだか分からない。
ようやく見つけ出してケースを開けてみると、買った時そのままの状態でまず問題はない。だがこの楽器は手に入れてから調整に出していないことに気がつく。1920年代のビンテージだからピッチが怪しいのはまあ目をつぶるとしても、弦高の高いのは困る。弾いてみるとハイポジションはとても押さえづらい。これでレコーディングに臨むのはちょっとヤバいなあ。ということで国立のH名人に連絡を入れると、すぐに調整してくれることがわかった。
マンドリン・バンジョーも普通のバンジョー同様に構造は一緒のようだ。ネックアングルを変えるにも同じようにやれば良いということらしい。幸いなことにコンディションがそれほど悪くなかったので、なんとかその場で処置していただけることになった。これで仕事レベルで使える状態になったのだ。まさに救急病院さながらだ。府中のF名人と共に長生きしていただきたいと切に思う。
参考音源のメロディーは確かにマンドリン・バンジョーだが、いわゆるマンドリンのように複弦ではなく単弦なのでそれぞれの弦を一本づつ外す。コレで参考音源にほぼ近づいた。ただ、tassi所有のマンドリン・バンジョーのヘッドは本皮なので、プラスチックヘッドを使っていると思われる参考音源とは微妙に音色が違う。まあここはエンジニアの腕を持ってして、EQでなんとかしてもらうことにしよう。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4
2018年03月18日
録り順

夜S.VALLEYにて映画の劇伴録音。音楽は羽岡佳氏。tassiはアコギ、ガット、ブズーキ、チャランゴ、ウクレレ、カンテレでダビング作業。
そういえば一昨日もこのスタジオだったなあ。違うプログラムでこのスタジオが続くのは珍しいことだ。本日は映画の劇伴ということもあって曲数が多いかと思いきや、確かに譜面台にドーンと置かれた譜面の枚数は多いが、1曲の中でダビングが多いということで曲数は4曲ほど。
演奏楽器の種類が多いとマイクの位置も楽器ごとに違ってくる。ブズーキはギターよりも少し内側に、またチャランゴはセンター少し上目に、というようにその都度エンジニアがマイク位置を修正するためにtassiの元へやって来る。
例えば1曲の中でギター、チャランゴといった組み合わせが何曲もある場合、曲順に録っていくとその度にエンジニアに来てもらい、マイクアレンジを変えてもらわなければならない。こんな事をしていたら時間もかかるし、それ以上にマイクの位置が正確に元に戻せなくなるという、再現性に欠けることにもなりかねない。
また劇伴録音は時間との戦いなので、曲順ではなく楽器順に録っていくというスタイルが取られることが多い。なのでまずはギター系からレコーディングする。次は同じようなポジションなのでウクレレ。そしてブズーキ、チャランゴという順にダビングしていく。
最後に天井高のある場所に移動してカンテレのダビングだ。昨年末の劇伴録音の時も羽岡氏からカンテレのオーダーがあった。カンテレ好きの劇伴作家がまた一人増えたようで嬉しい限りだ。透明感のある独特の音色と、未来永劫に続くかと思われるサスティーンは、カンテレならではのサウンドだろう。
ギター系と違ってカンテレを録ったことのあるエンジニアは少ない。レコーディングの度に今日のエンジニアは、どこからどんなマイクで狙うのか興味津々である。今日はこんな感じである。すばらしいサウンドで録音できた。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4
2018年03月13日
加齢は退化か熟成か

正午からS.VALLEYにてCM録音。音楽は本田晃弘氏。tassiはアコギ、バンジョーでダビング作業。
昨日のNHKではカントリー調の曲でバンジョーを使用したが、本日はより本格的なブルーグラス・サウンドだ。おまけにテンポ157とかなり速い。この速いテンポについて行けるのだろうか…..。
まずはアコギでリズムギターを録る。同じ事をダビングし左右に振り分ける。次にバンジョーのストローク。ストロークと言ってもフラットピックを使うと、ブルーグラスの感じは出ない。フィンガーピックを使っての裏打ちリズム・プレイだ。最後にスリーフィンガーを部分的にちりばめる。
久しぶりに目の覚めるような早さのスリーフィンガーを弾いた。学生の頃はもっと速いテンポを楽に弾いていたのになあ….
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4
2018年03月08日
プレッシャーからの解放

朝早くNHKにて幼児番組の劇伴録音。音楽は栗原正巳氏。tassiはアコギ、ガット、ウクレレ、バンジョーで参加。
本日は珍しく打ち込みナシで、ミュージシャンが一堂に会しての一発録りである。一発録りと言ったって、ProToolsを使ってマルチで録っているワケだから差し替えは可能である。そういう意味では変な緊張感はない。それよりもミュージシャン全員が、「セーノ」で一緒にプレイできる、今となっては貴重な機会だから、この瞬間を楽しまなければね。
劇伴といっても厳密に尺の縛りがあるわけではないので、リハーサルをする中でテンポも全員で相談しながらその都度変わっていく。また、曲によってはクリックを外し、全員の自然なグルーブに任せるというシーンもあった。まるでバンドでレコーディングしているようだ。シビアに時間に追われた「お仕事」の劇伴録音とは違う雰囲気の、和やかなレコーディング風景である。
tassiが仕事を始めた40年ほど前は、アナログマルチが徐々に普及してきた頃で、当時は16chが普通だったと記憶している。その後24→36と徐々にチャンネルが増えていった。それでもチャンネルが足りなくなると、ピンポンしてチャンネルを稼いでいたなあ。その作業で待ちになっても、その時間もギャラに反映されていた、今では考えられない良い時代だったのである。
ここNHKはというと当時はまだマルチレコーダーが導入されておらず、本日の506スタジオでさえも6mmのアナログ、モノ1発同録だった。なので誰かが途中で間違えると、全員で最初から録り直しというとオソロシイ結果が待っていた。それは緊張感あふれる現場だったろうことは、想像に難くない。
だからレコーディング・スタジオで仕事するということは、単に演奏技術だけではなく、その緊張感の中でも十分なパフォーマンスを出せる、心の強さを併せ持ったミュージシャンだけに許された世界だったと思う。もちろんエンジニアも同じプレッシャーを感じていたに違いない。
さて本日は作曲の栗原氏の人柄のおかげもあってか、レコーディング自体は順調に和気藹々と進み、当初予定していた時間を待たずに無事に終了した。これが40年前だったらこうはいくまい。テクノロジーの進歩は、時として演奏技術の退化を心配する向きもある。しかし逆に変な精神的プレッシャーから解放され、かえって伸び伸びとした演奏を引き出すための、良き技術革新だと確信した1日だった。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4
2018年03月02日
1957 Gibson J-185

夕方からFineにてCM録音。音楽はいしいゆうこ氏。tassiはアコギでダビング作業。
Fineスタジオ、さてどこだったっけ。しばらく行っていなかったので過去の記録を調べたら、なんと麻布十番のはずれにある洋食屋「大越」の隣だったことがわかった。ならばS.Cityに行くルートでOKじゃないか。当然カーナビは必要ナシ。
本日はアコギのみということで事前に音資料が送られてきた。この様子だとアルペジオ系のバッキングだけになりそうだ。ならばギターは1本だけで良さそうな気がする。通常はGibson SJとMerrill OMの2本体制だが、そんな理由から今回はあまり出番のないGibson J-185を登場させようと思う。
メイプル・ボディの185は同じGibsonとは言え、マホガニー・ボディのSJとはサウンドが違っている。指弾きの場合、マホガニーの方が繊細で柔らかいという印象を受ける。それに対してメイプルの方は、硬質でどちらかというと一本調子かな。その最たるものがキング・オブ・アコースティックと呼ばれているJ-200だろう。
17インチのボディから響きわたるそのサウンドは、力強くパワフルだ。まさにロックなストロークにはドンピシャ。だが守備範囲はそれほど広くない。繊細な表現には他の楽器の方が合っていると思う。同じメイプル・ボディなら少し小振り(16インチ)な185の方が守備範囲は広い。今回はこっちだな。
今回のCMは曲の中程からギターがアルペジオで参加するという構成。ギターを左右に2本重ね、2本で成立するアンサンブルを構築した。まずは温かくやさしめの指弾きで録音。CMの意図としてあまり情緒的な方向には行きたくないというので、次にフィンガーピックを付けて粒立ちのハッキリした、あっさり目のサウンドも試してみる。
どちらが採用になるかは、制作側とクライアント両者の意向次第だ。オンエアが楽しみだ。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4
2018年02月25日
個別診察と投薬時間

夜遅くAVACOにてレコーディング1曲。音楽は志方あきこ氏。tassiはGut,12弦、アイリッシュブズーキ、リュートでダビング作業。
早めにスタジオに到着すると、すでに前の患者さんは帰った後だった。
最近のレコーディング・スタイルとして、一人(セクション)ずつ録音することが多い。昔はミュージシャン全員を集め、「せーの」で一発録りすることが多かった。今でも歌謡曲演歌系はこのスタイルだ。ところが最近の傾向として劇伴でも個別に録ることが多いので、病院での出来事のように、ジョークを交えて冒頭での言い方をすることがある。
ブースに楽器をセットするとギターには珍しくNEUMANN M49がU67の隣にセットされている。主にウッドベースなどの低音楽器の録音に用いられることが多いが、わざわざギター系にセットするとはエンジニアの南氏は何か意図があるのだろうか。
志方さんの場合いきなり録音に入ることはなく、まずは作戦会議だ。1曲を通して同じ楽器で弾き通すということはほとんどない。そこが普通のポップスとの違いだろう。当初このスタイルに困惑したが、ここ10年ほどのおつきあいの中で、ブロックごとに楽器の配置を換えるという手法に慣れてきた。本日も基本は12弦とアイリッシュ・ブズーキが中心となり、部分部分でガットやリュートが登場するという構成に落ち着いた。
さて、67と49のバランスがどうだったかを帰り際に訊いたようだったが、すっかり忘れてしまった。とっくに投薬時間が過ぎていたので、きっと上の空で聞いていたのかもしれない。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4
2018年02月20日
がんばれGIBSON

インターネットのニュースサイトによると、ギブソンが危ないらしい。なんでも手形の返済が今年の7月に迫っていて、期限内に返済できないと倒産するかもしれないというのだ。詳しい事情はよく知らないが、ギブソンのギター、マンドリン、バンジョーなどを愛するtassiは心配でならない。
tassiが最初にギブソンに出会ったのは、実はギターではない。F-2というフラット・マンドリンが最初だった。もちろん興味がなかったわけではないが、ギブソンのアコギは仕事に使えないと、その当時は思っていたのだ。鳴らないボディから聞こえてくるのは、ボソボソとサスティーンのないチープなサウンド。例えは悪いが、干からびたイタリアのパンのような味気ない音といったら言い過ぎだろうか。そんなイメージが染みついていて、ギブソンギターは自分の選択肢になかったのだった。たぶん1970年代の一番質の悪い時代のギブソンの音しか聴いたことがなかったからだろう。アコギはマーチンに限る、そう言わざるを得なかったのだ。
1984年のある日、今もリペアでお世話になっているF氏から「ギブソンのF-2というマンドリンが中古で入荷したので、もし時間があれば見に来ませんか」という電話を頂いた。F-2ということは、ラウンドホールのビンテージだということはすぐに分かった。わが師の石川鷹彦氏がF-4の名手である。F-2はその下位機種だが、実際に店頭で弾いてみるとその枯れたサウンドに心奪われた。枯れてはいるが奥行きの深い、そしてラウンドホール独特のコロコロとしたなんともいえない甘い響きに、今まで使ってきた日本製のマンドリンが色褪せた瞬間だった。やっぱりビンテージ・ギブソンは違う!!迷わずクレジットカードを差し出したことは言うまでもない。これがギブソンとの最初の出会いだ。
1917年製ギブソン F-2はその後tassiのメイン・マンドリンとなって、数多くのレコーディングやライヴで活躍してくれて今も現役である。作られてから既に100年経っているのに状態は良く、最高の仕事の道具だと信頼している。
さてギターはというと、1990年にサンタ・クルーズOMを手に入れ、メイン・ギターはこれになった。それまではマーチンのドレッドノートを使っていたが、実は低域のブーミーなサウンドに長い間不満を持っていた。ところが同じマーチン系でありながら、ボディサイズの小さいOMをスタジオで弾いてみると、つまりマイクを通した音をプレイバックで聴いてみると、実にバランスのとれた「使える音」がモニタースピーカーから聞こえてきたのだ。ドレッドノートは使えない、ギターはOMに限る。そう確信した瞬間だった。それからしばらくOMの時代が続き、レコーディングにライヴにとこの一本で全てまかなってきた。
1996年のある日、池袋のI楽器店で1959年製ギブソン サザンジャンボ(通称SJ)に出会った。ギターはサンタ・クルーズOMで打ち止めだと心に決めていた。しかしこれまでギブソンのギターサウンドに失望していたtassiは、楽器店で弾いてみるとこれまたF-2マンドリンに出会った時の様なトキメキを感じたのだ。今まで聞いてきたサウンドはいったい何だったんだろう。音は枯れているがサスティーンも十分だし、加えて奥行きと深みがある。マーチン系のちょっと女性的な繊細でゴージャスな出で立ちとは逆の、男らしいけど無骨ではないしなやかさを感じたのだ。指弾きでも音像がボヤけない存在感は立派だ。オールドのマーチンD-18にも通じる、ビンテージのマホガニー・サウンドにノックアウトされた瞬間だった。これは最良の仕事の道具となることは間違いない。そう確信し喜んでクレジットカードを差し出したのは言うまでもない。
それから現在までこの1959年製ギブソンSJがtassiのメインギターになった。とはいえSJも完璧ではない。ストロークはもとよりアルペジオも完璧にこなすが、唯一不満なのはフレーズなどの単音弾きだ。土台としての存在感は十分にあるのだが、上物の瑞々しさと色気が少し足りない。ならばどうするか。板前が包丁を使い分ける様に、tassiもギターを使い分ければいいのだ。フグの薄造りを作るのにわざわざ出刃包丁を使う必要はなかろう。そう考えてフレーズ弾きの時はMerrill OM28と使い分けるようにした。 この2本でレコーディングはほぼ完璧である。
その後アーチトップのL-4、L-50を始めエレキのES-175、キング・オブ・アコースティックと呼ばれるJ-200、レアなJ-185とギブソン愛は今も続いている。間違っても倒産なんていうことにならないように切に願っている。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON Classic 35mm F1.4
2018年02月15日
戻ってこい、ウクレレブーム!

夕方NUMANスタジオにてCM録音。音楽は林部亜紀子氏。tassiはウクレレでダビング作業。
今から20年ほど前だっただろうか、CMというとやたらウクレレの登場機会が多かった。世の中もウクレレブームだったように記憶している。ハワイのカマカはその代表選手として昔から有名だったが、コアロハ、ケリー、Gストリングスなどなど新しいメーカーのウクレレが、日本でも簡単に手に入るようになる頃だった。
tassiもその当時はソプラノ、テナー、バリトン、8弦など多くの種類を集めたものだ。ところが熱しやすく冷めやすい日本の風潮なのか、その後ウクレレブームは一気に過ぎ去り、レコーディングの現場でも以前ほど頻繁に使われなくなった。
本日はそんなウクレレのみのダビングだ。まずはロング・ネック仕様の夢弦堂コンサート・ウクレレでリズムトラックを録る。オール・コアボディから発する軽快なサウンド、リズム系はこの楽器に限るなあ。次にメロディーだ。ある程度存在感ある音が欲しかったので、ギブソンのテナー・ウクレレを使う。オール・マホガニーボディの音は温かくそして太い。
ブースを出るとそこはN朝のロビーだった….なんて錯覚を感じながらスタジオを後にした。
SONY α7S / VOIGTLANDER NOKTON 35mm F1.2
2018年02月10日
王様といえばウードだろう

午前中に神宮前の製作会社にてCM録音。音楽はアコーディオンの佐藤芳明氏。tassiはマンドリンでダビング作業。
念のためラウンドとフラットの2種類を持って行く。コントロールルーム前室でセッティングしていると、アコーディオンをレコーディングしている音がかすかに聞こえてくる。なるほど、今回はイタリアモノだからラウンドで決定だ。
アコーディオンの録音を待ってブースに入る。イタリアンなサウンドが4タイプ。なかなかイイ曲ばかりでどれでもOKな感じだ。そうはいってもtassiは演奏で呼ばれたので余計なことは言うまい。それぞれメロディーを弾き、アコと一緒にイタリアンなサウンドを演出した。
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深夜SOUND CITYにて英語教材の劇伴録音。音楽は大谷幸氏。tassiはブズーキ、ウード、マンドリンでダビング作業。
なんで英語教材に民族楽器なんだろう….?どうやらその答えは教材に使われるCDにあるようだ。CDといっても音楽だけが収録されるのではなく、物語を俳優の肉声で語った音声も同時に含まれる。その物語の舞台が、ウードやブズーキのふるさとである中東と関係しているというわけだ。したがって他の楽器ではダメだということ。
マイクアレンジの都合上まずはマンドリンから録る。ラウンド、フラット両方持ってきたが、ここではフラットが登場。フラット・マンドリンといってもタコマ製なので、いわゆるGibson系とはひと味違ったサウンドである。今は主にライヴで使用しているが、マイクを立てたレコーディングでもなかなかいい味を出している。
次にブズーキだ。一番譜面が多いが、先に述べた理由で弾く場所は限られている。そして最後にウード。王様が困ったなあ、っていう感じで弾いて下さいという指示があった。きっとそういう内容のストーリーなんだろうなと想像して、ニュアンスを多めに弾いた。
SONY α7S / Carl Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年02月05日
ゲゲっ、雪じゃないか!!

正午からVICTORにてアニメ主題歌のレコーディング。音楽は田中公平氏。 tassiはエレキ・シタール、チャランゴで参加。
今日は午後から雪の予報だ。もしかしたら前倒しされるかも分からないので、朝早く家を出てスタジオへと向かう。今日はそれほど早くないが、通勤時間帯にぶつかると幹線道路が渋滞する。また、通学時間帯には細い道も通行止めになるので、余計に道が混むのである。元々裏道小僧のtassiは、そんな規制をかいくぐって裏の裏を行くのが得意だ。距離は走るが確実に時間通りに着けるルートをいくつか確保している。運転はさほど上手くはないが、それだけが自慢だなぁ…..
さて、雪も降っておらず相当早くスタジオに着いてしまった。いくら家でチューニングをしてきたとはいえ、チャランゴは狂いやすい。スタジオの環境に慣らすために、ある程度の時間ケースから出しておかなければならない。エレキ・シタールは板っきれなので、それほどシビアにならなくても良さそうだ。ただ。ブリッジでオクターブ調整が出来ないため、押さえるフレットによってはピッチが微妙に怪しい。その都度チューニングし直して部分的に録っていく。
1時間ほどで無事にレコーディングが終わり、外に出てみると雪本番という降り方である。今シーズン初めてスタッドレス・タイヤに履き替えたので、その効果を試してみたい。なるほど、グリップが違うね。もっと大雪にならないかな、なんて不謹慎なことを考えながら帰途についた。
SONY α7S / Carl Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年01月31日
明日は雪か

夕方から新富町のONKIOにて今秋公開映画の劇伴録音。音楽は羽毛田丈史氏。tassiはアコギ、ガットでダビング作業。
早めにスタジオに着くと、まだ羽毛田氏のピアノのレコーディング中だ。音を立てずに隣のブースに入り、静かに楽器をセッティングする。スタジオの中は基本的に無音なので、少しの音でもマイクが拾ってしまうのだ。ブースの中は空調が入っているが、外の寒さのせいでなかなか暖まらない。指がかじかんできている。やはり明日は雪らしい。
本日の劇伴は「あくまでも温かく」というサウンドが基本である。なので速いテンポは少なく、逆にテンポ50ぐらいのゆっくりした曲が多い。クリックを追い越さないように、また細かいタッチやノイズに神経を使いながら、完璧な世界を演出した。
SONY α7S / Carl Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年01月25日
AT8410a エラスティック交換 後編

材料が安く手に入ったので気分良く自宅までドライブだ。古いゴムを外しホルダーをバラす前に、念のために写真を撮っておく。NEUMANNのホルダーように単純な構造になっていないので、組み立て方が分からなくなってしまうかもしれないからだ。
まず古いゴムの長さを測る。伸びきっているからこの長さは当てにならない。なのでループ状態のゴムを一度切断して片方を机の端に固定し、目いっぱい引っ張ってみてその場所をチェックしておき、長さを測る。次に新しいゴムを同様に机の端に固定し、先ほどチェックした場所まで伸ばしきって、ゴムの長さを決めることにした。おおよそ50cmプラスαってとこだろうか。
次にゴムを固定する金具の輪っかに通す。金具の内径がけっこうギリギリで、とりあえず一本分は何とか通せた。次にもう一本通すためにゴムの先を細く斜めにカットし、さらに通りやすくするためにセロテープを巻く。しかしそれでも通らない。なのでゴムの片側をバイスに固定し、、ゴムを引っ張って細くした状態で先っぽだけでも押し込む。穴の反対側からセロテープ部分が頭を覗かせたら、そこをペンチで挟み引っ張り出す。というより金具を反対側にスライドするようにすると、うまくいくことが分かった。最後に金具をカシメて完成だ。
バラバラになったマイクホルダーにゴムを通す際に一つ注意がある。まず円形フレームの内側にゴムの通り道があり、そこを通すためにネジを緩めてやる必要があるのだ。その後写真を見ながら作業を進めるが、けっこうなテンションでかなり指が痛い。そしてなかなか綺麗な形にならない。あっちを引っ張りこっちを緩め何とか理想的な形に仕上がった。
かかった費用 : 70円
・内訳・
ゴム:40円(1m/75円)
金具:24円(28個/658円)
トータルで約70円ほどだ。こりゃあ安く上がった!!と喜んでいたが、気になって以前テクニカの担当者とのメールのやりとりを調べてみたら、何と税抜き180円だった。税込みだと約200円。これはショックだ。
ふと気になってNEUMANN用のゴムの値段を調べたら、2本で2,000円もすることがわかった。もし自作したらと計算してみたら、何と総額で150円以内で出来るではないか!!
さっそく製作に取りかかったことはもちろん言うまでもない。
2018年01月20日
AT8410a エラスティック交換 前編

年が明けてしばらく時間があったので、しばらく登場していなかったマイクをチェックしようとセットしてみると、マイクホルダーのエラスティック(サスペンション・ゴム)が経年変化で死んでいることに気がついた。マイクをセットした状態だとゴムがフニャけた状態で、外側のフレーム部分に触れている。マイクを外しても同じ状況。こりゃあマイクチェックどころではない、まずはホルダーを何とかしなくては…..。
マイクホルダーには直接マイクをセットするタイプ、床などの振動を拾いにくいサスペンション・ホルダーの2種類がある。サスペンション・ホルダーは、マイクを挟み込んだ中心部分を外側の円形フレームにゴムで宙づりにすることで、振動ノイズを防ぐという構造になっている。AKG451、NEUMANN KM84などのペンシル型マイクをセットする時、よく使われるのが「audio-technica AT8410a」というモデルだ。たいていどこのスタジオにも置いてある、いわば業界のスタンダードモデルといって良いだろう。
以前テクニカの担当者にこのサスペンション・ゴムのことを訊いたら、在庫があるので弊社取り扱いショップにて注文されたし、という返事をいただいた。それを思い出したので秋葉原のプロショップ「T」に電話すると、ゴムだけの取り扱いがないということだった。おかしいなと思いながらも、取り寄せだと日数も掛かるだろうし、それなら自作するかとホームセンターへと車を走らせた。
目指すはいつもゴルフの行き帰りに使う裏道沿いにある、コーナン本羽田萩中店だ。まずは素材売り場にあるゴムのコーナーを探す。平ゴムのベルトや穴あきのホースはあっても、側を布でくるんだタイプのものは見つからない。唯一近いモノがあったが太すぎて使えない。店のスタッフ曰く、もし細いのが必要なら製造元にオーダーすることは出来る。しかしその場合は1ロール単位なので、数十メートルになってしまいかえって高くついてしまいますね、と。
途方に暮れていると親切なスタッフは、手芸用品の「ユザワヤ」に行ってみたらどうですか、とアドバイスをくれた。一縷の望みをかけて蒲田の駅前までドライブだ。おっとその前にゴムを止める金具を調達しなければ。ワイヤーロープをカシメる金具で代用することにした。
ユザワヤに着いて売り場を探すとドンピシャの商品が見つかった。太さは何種類かあるが3mmのモノを選択。1m/75円という安さ!!今後のことも考え、またヘタってきたNEUMANN用にもと、白黒それぞれを余裕を持てゲットした。
後編へ続く…..
2018年01月17日
自画自賛

午後から東麻布の制作会社にて劇伴録音。音楽は高見優氏。tassiはアコギ、ガット、エレキ・シタールでダビング作業。
tassiは仕事ではアコースティックな楽器しか演奏しない。唯一例外が今回登場するエレキ・シタールだ。実はかなり昔に本物のシタールを手に入れたことがあった。実際に弾こうとトライしたが、いろいろな意味で敷居が高すぎて演奏は諦めてしまった。まあサンプリングして打ち込みで使おうか、なんていう不埒な考えでしばらく持っていたが、あるとき久しぶりにケースから出したら虫がわき出て、部屋中バルサンを炊く羽目になってしまった。その後マンションの管理室に一時預かってもらい、そこから引っ越した後はさてどうなったやら……。
スタジオに到着し楽器をチューニングしていると、「そのギブソンいい音してますね!」とエンジニア氏に感心されてしまった。自分でもそう思ってはいるが、改めて人からほめられると嬉しいものだ。どうやらエンジニア氏はまともなギブソンの音に出会ったことがないらしい。確かにそうだろう、tassiもわが愛器のスペアを探したが、ほとんど見つからなかった。ビンテージ楽器は特に個体差が大きく、状態が良くても(つまり外観は綺麗でも)音が良いのに出会うことはまれなことだ。
渡された譜面はシンプルだが、音色や音量の管理が難しく指のタッチにかなり気を遣う。おまけに高見氏はギタリストでもあるので、さらにハードルが上がる。丁寧な演奏を心がけ、今年最後のレコーディングが終わった。
SONY α7S / Carl Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2018年01月12日
指が6本、いや腕が3本欲しい

夜ONKIOにて劇伴録音。音楽は三宅一徳氏。tassiはアコギ、ガット、チャランゴ、ブズーキでダビング作業。
三宅氏の譜面は時として難しいことがある。譜面が真っ黒の時は、コーディネーターが気を利かせて事前に譜面を送ってくれることがあるが、今回は何も連絡がなかったので、まあ普通の譜面なんだろうと思った。それでも少し心配になり早めにスタジオに到着する。あわよくば巻き巻きで少し前に始められるかもしれない、という淡い期待も少しあったが。
スタジオロビーでコーディネーターの担当者と顔を合わせると、開口一番「早いですね、でも前がかなり押してますよ」と言われてしまった。これは曲数が多いのか、かなり難しいかのどちらかだろう。渡された譜面を見るとその原因はなんと後者だった。
当初はフロアで録る予定だったらしいが、無理を言ってブースに変更してもらいひたすら予習に励む。フロアではバースのダビング中だ。その次にパンフルートのダビングが始まるが、予習が終わることはなかった。
かなり手こずって何とか完成させたが、果たしてテレビではどんな風に聞こえるのか興味津々である。
SONY α7S / Carl Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2017年12月29日
時代劇にリュートだぜ!

夜SOUND CITY ANNEXにて劇伴録音。 音楽は栗山和樹氏。tassiはアコギ、ガット、マンドリン、リュートでダビング作業。
tassiが初めて栗山さんを意識したのは、現在もNHKで放送されている「名曲アルバム」のテロップに、「栗山和樹 編曲」とあったのを見た時だった。それも一曲や二曲ではなく、多くの作品を手がけておられたので、きっとクラシックの方だろうと勝手に思っていた。
その後2001年には同じくNHKの大河ドラマ「北条時宗」の音楽や、TBS系のドラマ「年下の男」など、劇伴サウンドトラックの世界で数多く活躍されているので、その名前を見たことのある人は多いと思う。
さて本日は時代劇の劇伴である。栗山さんは最近は時代劇の劇伴が多いようだが気のせいかな…。それにしても時代劇にリュートとは大胆だなあ、どんな感じなんだろう。心配なので念のために譜面を事前に送っていただく。3拍子の少しもの悲しいメロディーで、なるほどリュートの音色を生かした曲で映像が浮かんできそうだ。他にもガットギターのソロ曲やマンドリンでテーマを弾くといった内容のレコーディングだった。
SONY α7S / Carl Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2017年12月13日
買っておいて良かった

夕方から原宿の制作会社にてCM録音。音楽は阿部渋一氏。tassiはBISERNICA(ビセニチア)、マンドリン、バラライカでダビング作業。
録音前日に制作会社スタッフから「ユーゴスラビアの音楽をやります。つきましては添付音源の楽器は何でしょうか?」というメールが届いた。ここでユーゴスラビアについて少しおさらいしておこう。
ユーゴスラビアは第二次大戦後、ソビエトを中心とする東側に属する社会主義国であった。しかし1991年に北部のスロベニアが独立を宣言。またそれに続くクロアチアやボスニア・ヘルツェゴビナ、アルバニア、コソボと、独立を巡る民族紛争の絶えない場所で、結局現在では解体している。旧ユーゴスラビアは多くの民族が入り交じった地域というのは分かってもらえたと思う。さて、参考音源がどのエリアの楽器で演奏されているのかは不明だ。
スタッフからのメールは旅先で受け取ったので、十分に調べることが出来なかった。録音当日自宅に戻りシビアに音源を聴いてみると、どうやらビセニチアらしい。そういえば2002年にクロアチアを旅した時に、首都ザグレブでこの楽器を買ってきたことを思い出した。楽器庫から取り出して参考音源に合わせて弾いてみると、かなり音色が似ている。念のためマンドリンとバラライカも車に積んでスタジオへと向かった。
まずはマンドリンでメロディを弾く。その後ビセニチアでユニゾン。最後にバラライカでリズムのコード弾き。それにしてもビセニチアは楽器が小さく、安定してホールドすることが難しい。楽器裏面を身体に密着するように構えると、安定はするが楽器の鳴りが損なわれる。かといって身体から離すと安定せず、とても弾けたモンじゃない。シンプルなメロディだったが、かなり苦労して何とか仕上げた。
SONY α7S / Carl Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2017年12月05日
白タマオンパレード

夕方からNHKにて劇伴録音。音楽は羽岡佳氏。tassiはバンジョー、マンドセロ、カンテレでダビング作業。
この日は鳥取からの帰りでけっこうお疲れモードだ。譜面を見るとほとんどが全音符、いわゆる「白タマ」だ。羽岡氏によれば民族系の要素を入れたいということで、特にフレーズが必要ということではないらしい。カンテレでは普段はほとんど使わない最低音が出てきたが、はたしてオンエアで聴こえるのかどうか興味深いところだ。
SONY α7S / Carl Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2017年11月22日
あさじゅう

早朝からサウンド・インにてレコーディング1曲。編曲は若草恵氏。tassiはアコギで参加。
音楽業界における早朝というのは、一般社会とはかなりかけ離れている。ふつう早朝と聞くと5時や6時を想像するだろうが、実はなんのことはない午前10時なのだ。業界用語では「朝十/あさじゅう」と呼ばれる。単に朝十時を短くしただけのことだが。明け方までのセッションがあったりするから、朝10時というのはこの業界では早朝の部類に入るのだろう。
セッティングを含めると9時にはスタジオに入っていなければならない。ということは8時頃に家を出るわけだ。世の中はまだ朝の渋滞中で、おまけに通学路は時間で通れない。つまり裏道が使えないので余計に時間が掛かるのだ。
9時にスタジオに着くと既にエレキギターの角田氏はもうセッティング済みだ。機材が多いから当然なんだろうが、それにしてもいったい何時に家を出てきたのだろう……。当然まだ譜面は届いていない。しばらくするとbが7つも付いているマスターリズム譜がやってきた。ざっと見渡すと書き譜のフレーズはないようだ。迷わず4カポEmでプレイした。
SONY α7S / Carl Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA
2017年11月16日
チューニングは家でやってこい

夜VICTORにて劇伴録音。音楽は浜口史郎氏。tassiはアコギ、ガット、ドブロ、ブズーキ、マンドリンでダビング作業。
本日は久しぶりに楽器の種類が多い日だ。あらかじめ劇伴録音そしてダビングと分かっているので、事前に楽器のチューニングは自宅で事前に済ませていく。というのは個別ダビング方式だと前のプレーヤーがまだスタジオの中で演奏中のことがある。なので早く着いてもセッティングはおろかチューニングすら出来ないからだ。スタジオにセッティングしてからのチューニングは、楽器が多いとそれだけで時間がかってしまうからねえ。本日はタイミング良くスタジオに入れたのでチューニングの時間が短縮でき、早めに録音に取りかかることが出来た。
譜面を見ると指定の楽器以外は「GUITAR」としか書いていない。それでも民族系のエッセンスが欲しいということで、3度ヌキのバッキングにはアイリッシュ・ブズーキを提案し見事に採用された。また音域の離れたコンビネーションはアコギとマンドリンとの組み合わせで完成させた。ただ念のために持ってきたデルベッキオ(Del Vecchio)のリゾネーターは残念ながら採用されず、当初の指定通りDOBROでスライドプレイ。
SONY α7S / Carl Zeiss Vario-Tessar FE 4/24-70 ZA